句の意味・現代語訳

原文
滝の音は 絶えて久しく なりぬれど 名こそ流れて なほ聞こえけれ
日本語訳
滝から流れる水音が聞こえなくなってから、もう長い年月が過ぎ去ってしまったが、その名声だけは世間に流れ伝わって、今もなおよく人々に知れ渡っていることだよ。

句の作者

大納言公任(966〜1041)

大納言公任(だいなごんきんとう)は、藤原公任(ふじわらのきんとう)のこと。平安時代中期の公卿。藤原頼忠の長男として生まれ、藤原定頼の父でもありました。歌に優れ「和漢朗詠集」「拾遺抄」「三十六人撰」それぞれの撰者の一人で、家集である「公任集」も有名な作品の一つです。官位は正二位・権大納言で、小倉百人一首では大納言公任と称されます。

句の語句語法

滝の音は「滝の流れ落ちる水音は」の意味。「滝」は、「拾遺集」の詞書から、大覚寺にあった人工の滝を指す。大覚寺は、もともと嵯峨天皇(796~842)の離宮として造営された寺院で、後に真言宗の管理下となった。
絶えて久しくなりぬれど「ぬれ」は完了の助動詞「ぬ」の已然形で、「ど」は、逆接の確定条件を表す接続助詞。「~けれども」の意味。よって「聞こえなくなって長くたつけれど」を意味する。この歌が詠まれたのは、離宮(大覚寺)造営から約200年後のことであり、滝の水は既に枯渇していたものと推測される。現在大覚寺の滝跡は、この歌にちなんで「名古曽(なこそ)の滝跡」と呼ばれおり、滝は復元されている。
名こそ「名」は名声や評判。「こそ」は強調の係助詞。
流れて(評判が)広まること。「流れ」は滝の縁語。
なほ聞こえけれ「なほ」は「それでもやはり」の意味の副詞。詠嘆の助動詞「けれ」は、前の「こそ」を結ぶ言葉で「けり」の已然形。

句の季節・部立

季節・部立

句の決まり字

決まり字「たき」
たきのおとは たえてひさしく なりぬれど なこそながれて なほきこえけれ

句の語呂合わせ(覚え方)

語呂合わせ
たきのおとは たえてひさしく なりぬれど
なこそながれて なほきこえけれ
覚え方滝の名こそ
滝の前で名前を叫ぶ男の子

句の出典

出典
千載集

句の詠み上げ

句の英訳

百人一首の句の英訳です。英訳はClay MacCauley 版を使用しています。

英訳
Though the waterfall In its flow ceased long ago, And its sound is stilled; Yet, in name it ever flows, And in fame may yet be heard.