句の意味・現代語訳

原文
夕されば 門田の稲葉 おとづれて 蘆のまろやに 秋風ぞ吹く
日本語訳
夕方になると、家の門前にある稲の葉に音を立てて、蘆葺きの粗末な小屋に秋風が吹いてくることよ。

句の作者

大納言経信(1016〜1097)

大納言経信(だいなごんつねのぶ)は、源経信(みなもとのつねのぶ)のこと。平安時代後期の公卿で、歌人でもありました。官位は正二位・大納言で、小倉百人一首でも大納言経信と称されます。権中納言・源道方の六男として生まれました。

句の語句語法

夕(ゆふ)されば「移動する」を意味するラ行四段の動詞「さる」の已然形+接続助詞「ば」で順接の確定条件。よって「夕方になると」の意味。
門田(かどた)の稲葉「門田」は家の周辺にある田。家に近くて仕事がしやすく一番重宝された。
おとづれて動詞「おとづる」は「訪れる」の意味もあるが、ここでは「声や音を立てる」を意味する。
芦のまろや屋根が芦葺きの、粗末な仮住まいの小屋。この場合は、金葉集の詞書から、源師賢の別荘を指す。
秋風ぞ吹く「ぞ」は強意の係助詞で、「秋風が吹き渡ってくる」の意味。「吹く」は、カ行四段の動詞「吹く」の連体形で「ぞ」の結び。

句の季節・部立

季節・部立

句の出典

出典
金葉集

句の決まり字

決まり字
ゆう

句の詠み上げ

句の英訳

百人一首の句の英訳です。英訳はClay MacCauley 版を使用しています。

英訳
When the evening comes, From the rice leaves at my gate Gentle knocks are heard; And, into my round rush-hut, Autumn's roaming breeze makes way.