句の意味・現代語訳

原文
秋風に たなびく雲の たえ間より もれいづる月の 影のさやけさ
日本語訳
秋風に吹かれてたなびいている雲の切れ間から、こぼれ出る月の光は何と澄み切った美しさだろう。

句の作者

左京大夫顕輔(1090〜1155)

左京大夫顕輔(さきょうのだいぶあきすけ)は、藤原顕輔(ふじわらのあきすけ)のこと。平安後期の公卿で、藤原清輔の父。官位は正三位・左京大夫で、藤原顕季の三男として生ました。「詞花和歌集」の撰者としても知られます。

句の語句語法

秋風にたなびく「に」は原因・理由を示す格助詞。動詞の連体形「たなびく」は「横に長く伸びる」の意味。よって「秋風に吹かれて、横長に伸びて漂う」を意味する。
雲の絶え間より「絶え間」は、切れ間。「より」は、起点を表す格助詞。
もれ出づる月の動詞「もれ出づる」は「もれ出づ」の連体形で、雲の隙間から、月光が「こぼれ射してくる」さまを描写している。「の」は、連体修飾格の格助詞。字余り。
影のさやけさ「影」は、光。この場合は、月光を示す。「の」は連体修飾格の格助詞。「さやけさ」は、ク活用の形容詞「さやけし」+接尾語「さ」を接続し、名詞化した言葉で、「澄みわたってくっきりしていること」を意味する。体言止め。

句の季節・部立

季節・部立

句の出典

出典
新古今集

句の決まり字

決まり字
あきか

句の詠み上げ

句の英訳

百人一首の句の英訳です。英訳はClay MacCauley 版を使用しています。

英訳
See, how clear and bright Is the moon-light finding ways 'Mong the riven clouds That, with drifting autumn-wind, Gracefully float o'er the sky!