句の意味・現代語訳

原文
見せばやな 雄島のあまの 袖だにも ぬれにぞぬれし 色はかはらず
日本語訳
私の血の涙に濡れて色が変わってしまった私の袖を、あなたにお見せしたいものです。あの雄島の漁師の袖でさえ、毎日波をかぶって濡れに濡れても色は変わらないというのに。

句の作者

殷富門院大輔(1130〜1200)

殷富門院大輔(いんぷもんいんのたいふ)は、平安末期の歌人で、女房三十六歌仙の一人に数えられる人物です。藤原信成の娘として生まれました。

句の語句語法

見せばやな「ばや」は願望の終助詞で、「な」は詠嘆の終助詞。「見せ」は、下二段の動詞「見す」の未然形。よって「見せたいものだ」の意味。初句切れ。
雄島(をじま)の蜑(あま)の「雄島(をじま)」は歌枕で、歌枕としても有名な宮城県の松島湾にある島のひとつ。「蜑(あま)」は漁師のことで、海女と違い男女どちらも示す。
袖だにも「だに」は軽いものを取り上げて重いものを類推させる副助詞。「~でさえ」の意味。よって「袖でさえ」の意味。「も」は、強意の係助詞。
ぬれにぞぬれし「ぬれ」は、ラ行下二段の動詞「ぬる」の連用形。「に」は、同じ動詞の間に入れて表現を強調する格助詞。「ぞ」は、強意の係助詞。「し」は、過去の助動詞「き」の連体形で、「ぞ」の結び。四句切れ。
色は変はらず「色」は、袖の色。「は」は、区別を表す係助詞。中国の故事によるもので、袖の色が変わるのは、泣きすぎて涙が枯れ、ついには血の涙が流れるためとする。よって「漁師の袖の色は変わっていない」が、「私の袖の色は血の涙のせいで変わった」ことを表す。

句の季節・部立

季節・部立

句の決まり字

決まり字「みせ」
みせばやな をじまのあまの そでだにも ぬれにぞぬれし いろはかはらず

句の語呂合わせ(覚え方)

語呂合わせ
みせばやな をじまのあまの そでだにも
れにぞぬれし いろはかはらず
覚え方見せぬ
秘密を見せないようにする男の子

句の出典

出典
千載集

句の詠み上げ

句の英訳

百人一首の句の英訳です。英訳はClay MacCauley 版を使用しています。

英訳
Let me show him these! E'en the fisherwomen's sleeves On Ojima's shores, Though wet through and wet again, Do not change their dyer's hues.