句の意味・現代語訳

原文
世の中は つねにもがもな なぎさこぐ あまの小舟の 綱手かなしも
日本語訳
世の中の様子はいつまでも普遍であってほしいものだ。渚に沿って漕ぐ漁師の小舟の引き綱を見ると、舳先にくくった綱で陸から引かれている様子を見ると切ない気持ちがこみ上げてくる。

句の作者

鎌倉右大臣(1192〜1219)

鎌倉右大臣(かまくらうだいじん)は、源実朝(みなもとのさねとも)のこと。鎌倉幕府第3代将軍。頼朝の次男として生まれました。北条氏が実権を握る中で北条氏に関与を深め、右大臣に命ぜられるものの、右大臣就任の拝賀式が執り行われた鶴岡八幡宮にて、頼家の子である公暁に暗殺されてしまいました。歌人としても優れた人物で、藤原定家に師事し、独自の金槐和歌集を完成させました。

句の語句語法

世の中は今自分が生きているこの世界
常にもがもな「常に」はナリ活用の形容動詞「常なり」の連用形で「永遠に変わらない」の意味。「もがも」は難しいことが叶ってほしいという、願望の終助詞。「な」は詠嘆の終助詞。上代語。よって「永遠に変わらないでいてほしいものだ」を意味する。二句切れ。
渚(なぎさ)漕ぐ「渚(なぎさ)」は「波打ち際」。
海人(あま)の小舟(をぶね)の 綱手(つなで)「海人(あま)」は「漁師」。「綱手(つなで)」は舟の先に立てた棒に結びつける麻の綱で、舟を陸から海に引くための引き綱。川をさかのぼったりするときには、陸からこの綱で引っ張って上がっていった。
かなしも心を揺さぶるような切なさを表す形容詞「かなし」の終止形。「も」は、詠嘆の終助詞。「心が動かされるなあ」という意味。

句の季節・部立

季節・部立
羇旅

句の決まり字

決まり字「よのなかは」
よのなかは つねにもがもな なぎさこぐ あまのをぶねの つなでかなしも

句の語呂合わせ(覚え方)

語呂合わせ
よのなかは つねにもがもな なぎさこぐ
あまのをぶねの つなでかなしも
覚え方世の中は海女の尾
海辺で漁をする海女を見つめる女の子

句の出典

出典
新勅撰集

句の詠み上げ

句の英訳

百人一首の句の英訳です。英訳はClay MacCauley 版を使用しています。

英訳
Would that this, our world, Might be ever as it is! What a lovely scene! See that fisherwoman's boat, Rope-drawn, rowed along the beach.