句の意味・現代語訳

原文
花さそふ 嵐の庭の 雪ならで ふりゆくものは わが身なりけり
日本語訳
嵐の日に庭に吹き散らす桜の花は雪のように降っているのが、実は本当に古(ふ)りゆくものは実は私自身なのだなぁ。

句の作者

入道前太政大臣(西園寺公経)(1171〜1244)

入道前太政大臣(西園寺公経)(にゅうどうさきのだじょうだいじん)は、西園寺公経(さいおんじきんつね)のこと。平安時代前期の公家であり、歌人でした。西園寺家の実質的な祖とされる人物で、藤原定家の義弟でした。承久の乱にて鎌倉幕府側についた公卿の一人で、承久の乱後に最終的に太政大臣まで昇進しました。鹿苑寺(金閣寺)の前身である「西園寺」を京都北山に建立したことでも知られます。

句の語句語法

花さそふ「花」は普通「桜の花」を指す。「嵐が桜を誘って散らす」の意味。
嵐の庭の雪ならで「嵐」は山から吹き下ろす激しい風。「雪」は散る桜の花びらを雪に見立てた表現。「なら」は断定の助動詞で、「で」は打消の接続助詞。よって「嵐が吹く庭の雪ではなくて」の意味。
ふりゆくものは「ふりゆく」は桜の花びらが「降りゆく」のと、作者自身が「古りゆく(老いてゆく)」との掛詞。「は」は、区別の係助詞。
我が身なりけり「なり」は断定の助動詞「なり」の連用形で、「けり」は初めて気付いた感動を表す助動詞。

句の季節・部立

季節・部立

句の出典

出典
新勅撰集

句の決まり字

決まり字
はなさ

句の詠み上げ

句の英訳

百人一首の句の英訳です。英訳はClay MacCauley 版を使用しています。

英訳
Not the snow of flowers, That the hurrying wild-wind drags Round the garden court, Is it that here, withering, falls:-- That in truth is I, myself.