百人一首80番 「長からむ 心もしらず 黒髪の みだれてけさは 物をこそ思へ」(待賢門院堀河)の意味と現代語訳
百人一首の80番、待賢門院堀河の歌「長からむ 心もしらず 黒髪の みだれてけさは 物をこそ思へ」の意味・現代語訳と解説です。
句の意味・現代語訳
原文 長からむ 心もしらず 黒髪の みだれてけさは 物をこそ思へ |
日本語訳 あなたの心は末長く心変わりしないということは信じがたいことで、お別れした今朝は、わたしの黒髪が乱れるように心も乱れ、いろいろともの思いにふけってしまうのです。
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句の作者
待賢門院堀河(生没年不詳)
待賢門院堀河(たいけんもんいんのほりかわ)は、平安後期の歌人で、女房三十六歌仙の一人、かつ中古六歌仙の一人でもありました。源顕仲で、前斎院六条とも呼ばれた人物でした。
句の語句語法
長からむ心も | 「末永く変わらない(相手の男性の)心」の意味。「む」は推量の助動詞。よって「長からむ心」は、永遠の愛を示す。「も」は、係助詞。 |
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知らず | 「ず」は打消の助動詞の連用形で、「(相手の心を)はかりかねて」の意味。終止形の場合、「知らず」は、「信じがたい」の意味。二句切れ。 |
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黒髪の乱れて | 「乱れて」は、「黒髪」の縁語で、「黒髪が乱れる」ことを表し、「心が乱れて物思いにふけるばかり」という意味を表す。2重の意味が比喩を表す格助詞「の」によって結ばれている。 |
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今朝は | そのまま「今朝は」という意味だが、男女が結ばれた翌朝の意味。つまり「後朝(きぬぎぬ)」であることを表す。「は」は、区別を表す係助詞で、この日の朝が特別であることを示す。 |
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ものをこそ思へ | 「こそ」は強意の係助詞で「思へ」は四段活用動詞「思ふ」の已然形。「こそ~思へ」で係結びの関係。 |
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句の決まり字
決まり字「ながか」 |
ながから こころもしらず くろかみの みだれてけさは ものをこそおもへ |
句の語呂合わせ(覚え方)
語呂合わせ |
句 | ながから こころもしらず くろかみの みだれてけさは ものをこそおもへ |
覚え方 | 長から、乱れて 長い髪が風に乱れる男の子 |
句の英訳
百人一首の句の英訳です。英訳はClay MacCauley 版を使用しています。
英訳 |
If it be for aye
That he wills our love should last?
Ah! I do not know!
And this morn my anxious thoughts,
Like my black hair, are confused. |