句の意味・現代語訳

原文
人もをし 人もうらめし あぢきなく 世を思ふゆゑに 物思ふ身は
日本語訳
人が愛しくも思われ、また恨めしく思うこともある。この世をつまらなく思う、悩んでしまうこの私にあるのだなぁ。

句の作者

後鳥羽院(1180〜1239)

後鳥羽院(ごとばいん)は、日本の第82代天皇。1183年9月8日から1198年2月18日に在位しました。高倉天皇の第四皇子。後白河天皇の孫で、安徳天皇の異母弟に当たる人物でした。 文武両道で、諸芸、とくに歌道に優れた人物で、和歌所を設置して『新古今和歌集』を勅撰したほどでした。 1221年(鎌倉時代)の「承久の乱」で鎌倉幕府の執権であった北条義時に討伐の兵を上げました。しかし、朝廷側は北条氏に敗れて隠岐に配流され、1239年に隠岐から戻ることなく崩御しました。

句の語句語法

人もをし 人も恨(うら)めし「をし」は「愛(を)し」と書き、「愛おしい」の意味。「恨(うら)めし」は「恨めしい」の意味。「も」は並列の助詞で、「人も惜し」と「人も恨めし」が対照的に使われている。また、両方の「人」を同一人物とする説と、別人とする説がある。
あぢきなく思うようにならない気持ちを表すク活用の形容詞「あぢきなし」の連用形で、「思う」にかかる。「面白くなく」の意味。
世を思ふ故(ゆゑ)に「世を思ふ」は「世間のことを思い煩う」の意味。「に」は、原因・理由を表す格助詞。字余り。
もの思ふ身は「もの思ふ」は思い煩うこと。「身」は、作者自身で、倒置法を使っている。「は」は、強意の係助詞。

句の季節・部立

季節・部立

句の決まり字

決まり字「ひとも」
ひともをし ひともうらめし あぢきなく よをおもふゆゑに ものおもふみは

句の語呂合わせ(覚え方)

語呂合わせ
ひともをし ひともうらめし あぢきなく
よをおもふゆゑに ものおもふみは
覚え方人もよおぉ~
友達に向かってよおぉ~と叫ぶ女の子

句の出典

出典
続後撰集

句の詠み上げ

句の英訳

百人一首の句の英訳です。英訳はClay MacCauley 版を使用しています。

英訳
For some men I grieve;-- Some men are hateful to me;-- And this wretched world To me, weighted down with care, Is a place of misery.